Salut les ami(e)s,
Il y a quelques temps, et même plusieurs années, un manuscrit ninja inédit vient d'être retrouvé : le "gunpô kanrinseiyô" (軍法 間林清陽).
Alors, en fait, la seule chose qui a été retrouvé, c'est seulement la deuxième partie : maki chû (巻中).
Il ne fait qu'une quarantaine de pages (petit format), et chaque chapitre ne fait que quelques lignes.
Voir, par exemple ici :
https://japantoday.com/category/feature ... d-in-japan
Très étonnamment, il ne me semble pas avoir lu jusqu'à maintenant le moindre article en français sur cette découverte depuis sa découverte en 2022.
Et même dans les articles en anglais, je n'ai jamais trouvé de sommaire complet retranscrit.
J'ai donc pris sur moi de vous faire une retranscription complète du sommaire en japonais moderne, accompagné d'un petit descriptif :
1. 万見立習之事
Catégorie : 物見
Descriptif : 敵国の情報収集の重要さ
2. 城中へ入様分別事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 城への潜入時の取決め
3. 城家見様之事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 城 ● 家潜入時の変装法
4. 町間積之事
Catégorie : 見積
Descriptif : 距離の見積
5. 難処物見之事
Catégorie : 物見
Descriptif : 危険な場所での物見時の複数体制
6. 人数配并立様事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 潜入時の人数の配置
7. 人数不散習之事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 複数での潜入時にはぐれない方法
8. 四方見詰之事
Catégorie : 物見
Descriptif : 高所に配置する物見と役割
9. 味方呼出様之事
Catégorie : 合図
Descriptif : 味方の呼び出し方
10. 大勢ニ被取籠時ノ習
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 囲まれた際の戦闘法
11. 小音聞様之事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 小さな音の聞き方
12. 塀石垣乗様付堀越様事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 道具を使つた堀 ● 石垣の越え方
13. 子時之習之事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 忍び入る最適な時間帯
14. 寝入ル不寝ヲ知ル事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 敵が寝ているかを知る方法
15. 寝衣取様附羽帚ノ事
Catégorie : 潜入
Descriptif : 敵の衣服を盗る方法
16. 討様之事
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 敵を討つ方法
17. 仕手同脇仕手ノ事
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 複数人での戦闘法
18. 犬不𠵅様之事
Catégorie : 呪術
Descriptif : 犬が吠えない呪文
19. 俄に人間隠の事
Catégorie : 呪術
Descriptif : 敵に見つからない呪術
20. 火師并火添火脇事
Catégorie : 夜討
Descriptif : 火を扱う役割の者と人数
21. 一ノ火、二ノ火、三ノ火事
Catégorie : 夜討
Descriptif : 火が消えた際の補助要員
22. 相図之火之事
Catégorie : 夜討
Descriptif : 合図の火に使う道具
23. 紙帳之事
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 紙の蚊帳を使つた待伏せ
24. 刀脇差心持之事
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 就寝時の刀の置き方
25. 飛猿并戸出戸脇ノ事
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 暗闇時の敵捜索と門往来時の防御法
26. 闇夜働の事
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 暗闇時の太刀の扱い
27. 化生幕野中幕ノ事
Catégorie : 戦闘法
Descriptif : 羽織を使つた目潰しと防御法
28. 鎖子樞掛鉄明様
Catégorie : 開器
Descriptif : 道具を使つた鍵の開け方
29. 灯置様之事
Catégorie : 火器
Descriptif : 火種の道具
30. 試之鉄之事
Catégorie : 開器
Descriptif : 塀を壊す道具
31. 刃鑰之事
Catégorie : 開器
Descriptif : 鍵を開ける ● 壊す道具
32. 打鑰之事
Catégorie : 登器
Descriptif : 高所を登る道具
33. 分鋸并鋳鋸吹籠之事
Catégorie : 開器
Descriptif : 鍵等を壊す道具
34. 無相錐同鎌釘之事
Catégorie : 開器
Descriptif : 壁等に穴を開ける道具
35. 浮橋之事
Catégorie : 水器
Descriptif : 堀を渡る道具
36. 繰橋之事
Catégorie : 登器
Descriptif : 石垣を登る道具
37. 髙橋之事
Catégorie : 水器
Descriptif : 堀を渡る道具
38. 引縄之事
Catégorie : 登器
Descriptif : 塀を登る道具
39. 切火縄之事
Catégorie : 火器
Descriptif : 火種として使う道具
40. 楯拵様之事
Catégorie : 防具
Descriptif : 持盾の製法
41. 杖拵様之事
Catégorie : 防具
Descriptif : 隠し防具の製法と使用法
42. 菱并横村之事
Catégorie : 罠
Descriptif : 罠の製法と使用法
43. 早着籠手巾之事
Catégorie : 防具
Descriptif : 簡易な籠手の製法と使用法
44. 水器之事
Catégorie : 水器
Descriptif : 柄杓の持参
45. 袖炬之事
Catégorie : 火器
Descriptif : 照明の付け方
46. 無音履之事
Catégorie : 衣服
Descriptif : 足音のしない履物の製法
47. 自在登階之事
Catégorie : 登器
Descriptif : 梯子の製法
48. 戸X之事
Catégorie : 罠
Descriptif : 戸が開かないようにする方法
49. 破軍之事
Catégorie : 日取
Descriptif : 破軍星の位置
50. 雰之印之事
Catégorie : 武器
Descriptif : 目潰し
" Kanrinseiyô " - Texte ninja inédit
Re: " Kanrinseiyô " - Texte ninja inédit
Voilà, vous pouvez télécharger le "gunpô kanrinseiyô" (maki chû) à ce lien :
https://www.sendspace.com/file/zsxacs
Il est sous forme d'un fichier ZIP d'environ 123 Mo (40 images au total).
Il est vraiment très bien présenté : une photo du manuscrit original en en-tête, puis en dessous, une transcription directe du manuscrit à droite et sa transcription en japonais moderne à gauche.
https://www.sendspace.com/file/zsxacs
Il est sous forme d'un fichier ZIP d'environ 123 Mo (40 images au total).
Il est vraiment très bien présenté : une photo du manuscrit original en en-tête, puis en dessous, une transcription directe du manuscrit à droite et sa transcription en japonais moderne à gauche.
Re: " Kanrinseiyô " - Texte ninja inédit
Et ici, retranscription intégrale :
軍法 間林清陽 巻中
目録 :
1. 万見立ての習いの事
2. 城中への入り様の事
3. 城 ● 家の見様の事
4. 町間積の事
5. 難所物見の事
6. 人数配りならびに立ち様の事
7. 人数散らざる習いの事
8. 四方見詰の事
9. X呼び出し様の事
10. 大勢に取り龍められる知略の習いの事
11. 小音の聞き様の事
12. 塀 ● 石垣乗り様、付けたり堀越し様の事
13. 子時の習いの事
14. 寝入る ● 不寝を知る事
15. 寝衣の取り様、付けたり羽帚の事
16. 討ち様の事
17. 仕手 ● 同脇仕手の事
18. 犬Xえざる様の事
19. 俄に人間隠れの事
20. 火師ならびに火添 ● 火脇の事
21. 一の火 ● 二の火 ● 三の火の事
22. 相図の火の事
23. 紙帳の事
24. 刀脇差心得の事
25. 飛猿ならびに戸出 ● 戸脇の事
26. 闇夜の働きの事
27. 化生幕ならびに野中幕の事
28. 鎖子 ● 樞 ● 掛鉄明け様の事
29. 灯置き様の事
30. 試しの鉄の事
31. 刃鑰の事
32. 打鑰の事
33. 分鋸ならびに鋳鋸 ● 吹籠の事
34. 無相錐ならびに鎌釘の事
35. 浮橋の事
36. 繰橋の事
37. 髙橋の事
38. 引縄の事
39. 切火縄の事
40. 楯拵え様の事
41. 杖拵え様の事
42. 菱ならびに横村の事
43. 早着龍ならびに手巾の事
44. 水器の事
45. 袖炬の事
46. 無音履の事
47. 自在登階の事
48. 戸〆の事
49. 破軍の事
50. 雰の印の事
右五十ケ条終わり。
延享五辰ノ年五月日
1. 万見立ての習いの事
第一にその国の風俗や大将、諸侍達の気質を尋ねて知っておくべきである。その国の道筋や方角、地行など、あらゆることを知っておくのである。
地行 :地形。
2. 城中への入り様の事
城に忍び入る時は門際でよく見極めて、入り方や出方を仲間と事前によくよく申し合わせて、入った道などが悟られないように謀を前もって相談しておくことが第一である。
3. 城 ● 家の見様の事
宵の内に姿を替えて、城の近辺に忍び入る。ただし、商人 ● 諸勧進の体でもよい。その城の広狭、口々の平地 ● 難地など多くの事を見ることである。
宵 :日が暮れて間もない頃。または日暮れから夜中までの間。
諸勧進 :教えを広めたり寄付を募る僧。
口々 :城の出入口 ● 虎口。
4. 町間積の事
これは、自分がいる所から城までの町間を計算し、また堀の幅や寄口などあらゆる事を見積もる方法である。
町間 :距離。
寄口 :攻め口。
5. 難所物見の事
「常の物見」というのは、大体の敵の様子を見て、その所の様子や敵の軍法、人数の多少などを見る事である。
「難処物見」というのは、十に一つも生きて帰れないところへ行く事である。そのような時は、「添物見」を求めるものである。添物見は控えて置き、本物見は行くべき所へ行って、死に及ぶ時は、事前に決めておいた合図の品を添物見に知らせて遣わすとよい。第一、物見役は武功の者でなくてはならない。帰る事を何とか知略で成したならば、武功第一というべきである。
6. 人数配りならびに立ち様の事
第一に合言葉を定めて、門の口々に味方を置き、敵が出れば討って捨て、所々に役人を置き、人数を配るのである。
口々 :城の出入口 ● 虎口。
役人 :何らかの役目がある人。
7. 人数散らざる習いの事
複数人で忍び入る時は、手を取り合うか、或いは帯に糸を付けて、または時々合言葉を使う。入る時 ● 出る時は、特に合図が第一である。
8. 四方見詰の事
これは物見の事である。屋根の上などの高所に上っておいて、敵だとわかるか、または敵の出入りをきつかけとして、味方に知らせ告げる人のことである。
9. X呼び出し様の事
これも合図をしたり、物まねをするなどして、呼び出して知るための謀である。
X :味方。
10. 大勢に取り龍められる知略の習いの事
これはもし敵に見付けられ、知略も敵わずに討たれる時は、二人でも三人でも一つに固まり、太刀先を並べ、敵の右へ右へと切り懸り、敵を一つに丸くして討つのである。
11. 小音の聞き様の事
総じて音を聞くには、戸尻に耳を当てて聞くべきである。物音が良く聞こえるものである。
戸尻 :扉の付け根や引き戸の次に来る戸と接する部分など。
12. 塀 ● 石垣乗り様、付けたり堀越し様の事
塀は打鉤を打ちかけて、その緒を持って登る。または引縄を長くしたり短くして腕木に結び付けて、その端に足を入れて登る。総じてこのような道具は奥義にある。石垣は浮橋や繰橋などでも、くないなどでも、石垣の間に押し込み押し込み登るのである。または一人が先へ登り、布か木綿を二本の筋にして、六~七寸程の木を間に二尺ほど置いて結び付ける。石垣の上に布の端を結び付けて、梯子のように下へ降ろすのである。堀を越す方法は色々ある。第一に水がある場合は、一人を先へ遣わして、縄を向かいの堀際に結び付ける。布の端に板や桶を付けて、突きやって向かいへ越すようにする。これを堀の船橋というのである。
13. 子時の習いの事
子の時というのは、夜の九つの事である。総じて忍び入るにも夜討ちをするにも、人が寝入る最中が良い。子と丑の間に忍び入るのが良いのである。
夜の九つ :牛前零字。
14. 寝入る ● 不寝を知る事
屋根の上へ石などを投げて、家の内側の音を聞くか、または用事を言いかけて、内側の返事を聞くとよい。
15. 寝衣の取り様、付けたり羽帚の事
寝衣の取り様は、敵が着ている衣を裾から頭の方へ取るとよい。羽帚というのは、細い竹の先にXの首毛を付けて、手元には尾っぽを付けて、長さを一尺ばかりにして持つ。また、鼻に結び付けても良い。戸 ● 障子に当たった事が知れるのである。
寝衣 :寝間着。
16. 討ち様の事
討様というのは、小脇差と明松を一つに持って、敵の胸に押し当てて首を打つのである。
17. 仕手 ● 同脇仕手の事
仕手というのは、本仕手のことである。脇仕手は介太刀をする人のことである。総じてこのような事も、前もって相談しておくと良い。
本仕手 :主として動作を行う人。
介太刀 :助太刀。
18. 犬Xえざる様の事
手の内に「鬼」という字を書いて犬の方へ見せ、片々の手で九字を切るのである。
19. 俄に人間隠れの事
梟の頭の黒焼きと、胴亀の黒焼きと合わせて、来る人の方へ捨て、手には九字を切って、佝でも手前にある物をかつぐと良い。すると隠れることができる。
20. 火師ならびに火添 ● 火脇の事
火師は火を扱う本人である。討道具を拵え持ち、火を拵えて、火が要るようになったら合図を出す人である。火添は、火でも何でも、合図があり次第、火師にそれを渡す人である。本人の手伝いなどをするのである。火脇は、火師や火添の加え人である。定めて三人はいるようにする。四人~五人まではいてもよい。
加え人 :手助けをする人。
21. 一の火 ● 二の火 ● 三の火の事
火を持つ際、一の火 ● 二の火 ● 三の火といって、三人までが持つようにする。これは火が消えた時の為である。または、替え火、そのほかの火も必要である。
22. 相図の火の事
相図の火というのは、たいていは水火縄を使う。そのほかの色々の火は「火の巻」にある。よく考えて用いるべきである。第一に、物見役に必要なものである。
水火縄 :木綿を編み込んだ縄に、硝石を染み込ませたもの。
23. 紙帳の事
用心が必要な時は、紙帳を吊手に吊らす。竹で切合わせて、紙帳の内側より伏がウのようにするのである。
吊手 :蚊帳などをつるのに用いるひもや金具。
伏がウ :鶏を閉じ込める「伏籠(ふせご)」のことか。
24. 刀脇差心得の事
用心が必要な時は、刀は右にでも枕元にでも置き、脇差は柄を足の方に向けて左の方に置く。この刀を用いる時は、直に抜き打ちに斬るのである。
25. 飛猿ならびに戸出 ● 戸脇の事
飛猿というのは、暗い自分の寝室に盗人または敵が入ってくる時の探り方である。二尺五寸の刀を二尺抜けば四尺五寸になり、ここに柄を懸けると五尺ほどになる。これで柄を持って敵の右の方より探すのである。敵の鞘に当たると、敵が必ず柄を取り持つので、すぐに抜いて斬るのである。戸出 ● 戸脇は、刀を背中へ置いて、下緒を繰って肩際で持ち、脇指を抜刀した刀の鍔に上から乗せて、左の足からできるだけ身を沈めて出入りする。用心が必要な時は、このように心掛けるとよい。取籠者に対しても一段と良いのである。
取籠者 :人質を取るなどして立て籠もっている者。
26. 闇夜の働きの事
夜の太刀打ちは、太刀を(空に)かざして、自分はできるだけ身を沈めて腰を据えて動くとよい。敵を雲の隙間に見る様にするのである。
太刀打ち :太刀で打ち合い、たたかうこと。
27. 化生幕ならびに野中幕の事
化生幕というのは、着物でも羽織でも敵の面に打ち掛けて、敵が視界を失った所を打つようにする。野中の幕というのは、弓矢や鉄砲で敵に仕懸けられた時、刀の鞘に着物や羽織をかけて、左手に持ちながら身を囲い、右の手に刀を持ち構えて斬りかかるのである。
28. 鎖子 ● 樞 ● 掛鉄明け様の事
鎖子を開けるには、真綿を竹のへラで押し込んで開ける。樞は刃鑰にて引っかけて開ける。掛鉄は問鑰といって、女の機の道具に「おささ」というものが有る。その形は、鉄でできるだけ薄く打って作り、輪掛鉄を外す。つぼ掛鉄は、下より上げて外す。
鎖子 :鎖の掛け錠。
樞 :戸締まりをするために、戸の桟から敷居に差しこんで栓をする木片。
刃鑰 :鎌の刃の部分がのこぎり状になった忍器。後述の「31. 刃鑰の事」参照。
掛鉄 :掛金。戸や障子などに付けて置き鎖した時、もう一方の金物の穴に掛けて、締りとする鐶または鉤。
問鑰 :錠前を探ったり外したりする忍器。「万川集海」忍器篇参照。
機 :はたおり機械。織機。
29. 灯置き様の事
油火を灯して、灯心の上へ毛抜を置き、その上に茶碗や器を置く。火を用いる時は、ふたを取る。
灯心 :あんどん ● ランプなどの芯。灯油にひたして火をともすのに用いる細い紐状のもの。
30. 試しの鉄の事
試し鉄とは、まなはしの様な鉄である。柄を右の通りにして、できるだけ鍛えた鉄である。塀等を突き通し、柱貫などがある所を知るためのものである。
まなはし :真魚箸。魚を料理するときに用いる木や鉄などで作った長い箸。
柄 :「右の通り」とあるが図の記載はなし。原本には絵図が書かれていた可能性がある。
柱貫 :柱の上部を横に貫く材。
31. 刃鑰の事
刃鑰は、樞を開ける物である。樞鑰のように歪めて引き込み、のこぎりのように鋼で打たせて、のこぎり刃を付け、樞を引っ掛けて開けるのである。
樞鑰 :戸が開かないように固定する鍵を開けるための道具。「万川集海」陰忍篇参照。
32. 打鑰の事
これは、船の碇の小さい物である。細引を付け、登る所へ打ち上げて引っかけ、縄をたぐって登るのである。
細引 :細引縄。麻を縒って作った縄。
33. 分鋸ならびに鋳鋸 ● 吹籠の事
分鋸 ● 鋳鋸というのは、普通の鋸のことと、焼鋸とも言い、できるだけ鍛えてある良い鋸のことである。焼鋸で引けば、大きい木を引いても音も無く、また早く引けるのである。鋸は何丁もあってよい。吹籠は火を吹く物である。数寄屋吹籠が良い。
吹籠 : 鞴 ● 吹子 ● 吹革と同じく、火をおこすのに用いる送風器のことか。
34. 無相錐ならびに鎌釘の事
錐は大きいものや小さいものをたくさん持つとよい。鎌釘もたくさん持っているとよい。
鎌釘 :鎌の刃と柄を留める釘のことか。
35. 浮橋の事
泳ぎが得意な者に細引を持たせて、堀の向こうへ遣わし、木にでも石にでも強く結び付けて、縄を頼りにして越すものである。結びつける所がなければ、「まくり橋」を石垣の間へ良く打ち込み、縄を結び付ける。
36. 繰橋の事
これは道具である。鉄梃の少し細い者である。石垣を登るときに、これを打ち込んで打ち込んで登るのである。
鉄梃 :鉄製のてこ。
37. 髙橋の事
使い方は浮橋と同じである。冬などは細引でも布でも木綿でも、何筋も空に張って渡るようにする。
細引 :細引縄。麻を縒って作った縄。
38. 引縄の事
これは、三尋、四尋ほどある細引である。両方を「めXさ」にする。用法は、前に記した塀を越える方法と同じである。
尋 :両手を左右にのばした長さ。日本では五~六尺ほど。
細引 :細引縄。麻を縒って作った縄。
39. 切火縄の事
切火縄はいくつも持って行って良い。火縄というのは、女性が用いる刀子で煎った火縄である。雨降が降っても消えない物である。
切火縄 :火縄を適当な長さに切ったもの。火縄鉄砲を発するのに用いたり、火種用や時間を計るのに用いる。
刀子 :小刀。短刀。
40. 楯拵え様の事
楯はケヤキの厚板で作る。長さ一尺三、四寸、横八寸で、鉄で縁を取りつけ、真ん中に鉄の取つ手を付けるのである。
41. 杖拵え様の事
杖は、半分より下を鉄にする。但し、二筋にして、その継ぎ目を鉄で要にして、普段は畳んでおいて杖として用いる。緊急時はこれを打広げれば、扇の形になる。これも盾になる。
42. 菱ならびに横村の事
菱は、古い竹を細く割いて、三角にでも四角にでもなるように結び、どのように投げても一角は上を向く様に菱を結んで作る。敵が追って出る道に撒き捨てれば、敵は足で踏み立てるのである。「横村」は、敵が来る道に材木でも茨でも石などを切り捨てて置いておくのである。これは皆知略である。
43. 早着龍ならびに手巾の事
木綿でも布でも一重にしたところに、銭を紺屋の糊で伏せ、その上にまた布を一重当てて、糸で固く綴じると良い。二重の布でもこれと同じである。
紺屋の糊 :染物屋が使う糊。
44. 水器の事
水器というのは、柄Xのことである。用がある場へは、必ずもっていくべきものである。
45. 袖炬の事
知らない人の前で、火を用いる物を尋ねる場合は、自分の着物の裏絹の色の切端に油を付けて、褄でも袖でも持ち添えてから、火を灯す物を尋ねるとよい。これも知略である。
46. 無音履の事
大方忍び入る時は、ぞうり ● わらじの裏を掻かず。また、真綿を糊で幾重にも重ねて、鼻緒をつけて履くとよい。
掻かず :裏をこすらないようにして歩くという意味か。
47. 自在登階の事
竹を一尺五寸ほどに切り、縦の竹とする。横竹は一尺二寸ほどに切り、中へ細引を通して、梯子にして屋上などでも棟の間に材を差し込み、それに結び付けて梯子にするのである。
48. 戸〆の事
これは、用心が必要な時間から、戸尻に錐揉みをして釘を差し込み、栓の心にするのである。
戸尻 :扉の付け根や引き戸の次に来る戸と接する部分など。
錐揉み :きりを両手でもみ回しながら穴をあけること。
49. 破軍の事
破軍星を自分の後ろに背負って敵に向かえば勝利を得る。繰り方は、正 ● 五 ● 九 ● 一という繰り方が有る。正 ● 五というのは、その時間から五X時戻った月の数の当たる方に、破軍星がある。また、九月にはその時の一X目の方にある。十二月、あでは、二割ずつ増えてその方にある。
繰る :順々に数えてゆく。
50. 雰の印の事
鉄
硝煙 (セウ)
炭 (タン)
三色を粉にして、敵の面に打ち懸けるのである。または古升の粉や一味を用いても良い。
古升 :胡椒。
一味 :一味唐辛子。
〆五十ケ条終わり
軍法 間林清陽 巻中
目録 :
1. 万見立ての習いの事
2. 城中への入り様の事
3. 城 ● 家の見様の事
4. 町間積の事
5. 難所物見の事
6. 人数配りならびに立ち様の事
7. 人数散らざる習いの事
8. 四方見詰の事
9. X呼び出し様の事
10. 大勢に取り龍められる知略の習いの事
11. 小音の聞き様の事
12. 塀 ● 石垣乗り様、付けたり堀越し様の事
13. 子時の習いの事
14. 寝入る ● 不寝を知る事
15. 寝衣の取り様、付けたり羽帚の事
16. 討ち様の事
17. 仕手 ● 同脇仕手の事
18. 犬Xえざる様の事
19. 俄に人間隠れの事
20. 火師ならびに火添 ● 火脇の事
21. 一の火 ● 二の火 ● 三の火の事
22. 相図の火の事
23. 紙帳の事
24. 刀脇差心得の事
25. 飛猿ならびに戸出 ● 戸脇の事
26. 闇夜の働きの事
27. 化生幕ならびに野中幕の事
28. 鎖子 ● 樞 ● 掛鉄明け様の事
29. 灯置き様の事
30. 試しの鉄の事
31. 刃鑰の事
32. 打鑰の事
33. 分鋸ならびに鋳鋸 ● 吹籠の事
34. 無相錐ならびに鎌釘の事
35. 浮橋の事
36. 繰橋の事
37. 髙橋の事
38. 引縄の事
39. 切火縄の事
40. 楯拵え様の事
41. 杖拵え様の事
42. 菱ならびに横村の事
43. 早着龍ならびに手巾の事
44. 水器の事
45. 袖炬の事
46. 無音履の事
47. 自在登階の事
48. 戸〆の事
49. 破軍の事
50. 雰の印の事
右五十ケ条終わり。
延享五辰ノ年五月日
1. 万見立ての習いの事
第一にその国の風俗や大将、諸侍達の気質を尋ねて知っておくべきである。その国の道筋や方角、地行など、あらゆることを知っておくのである。
地行 :地形。
2. 城中への入り様の事
城に忍び入る時は門際でよく見極めて、入り方や出方を仲間と事前によくよく申し合わせて、入った道などが悟られないように謀を前もって相談しておくことが第一である。
3. 城 ● 家の見様の事
宵の内に姿を替えて、城の近辺に忍び入る。ただし、商人 ● 諸勧進の体でもよい。その城の広狭、口々の平地 ● 難地など多くの事を見ることである。
宵 :日が暮れて間もない頃。または日暮れから夜中までの間。
諸勧進 :教えを広めたり寄付を募る僧。
口々 :城の出入口 ● 虎口。
4. 町間積の事
これは、自分がいる所から城までの町間を計算し、また堀の幅や寄口などあらゆる事を見積もる方法である。
町間 :距離。
寄口 :攻め口。
5. 難所物見の事
「常の物見」というのは、大体の敵の様子を見て、その所の様子や敵の軍法、人数の多少などを見る事である。
「難処物見」というのは、十に一つも生きて帰れないところへ行く事である。そのような時は、「添物見」を求めるものである。添物見は控えて置き、本物見は行くべき所へ行って、死に及ぶ時は、事前に決めておいた合図の品を添物見に知らせて遣わすとよい。第一、物見役は武功の者でなくてはならない。帰る事を何とか知略で成したならば、武功第一というべきである。
6. 人数配りならびに立ち様の事
第一に合言葉を定めて、門の口々に味方を置き、敵が出れば討って捨て、所々に役人を置き、人数を配るのである。
口々 :城の出入口 ● 虎口。
役人 :何らかの役目がある人。
7. 人数散らざる習いの事
複数人で忍び入る時は、手を取り合うか、或いは帯に糸を付けて、または時々合言葉を使う。入る時 ● 出る時は、特に合図が第一である。
8. 四方見詰の事
これは物見の事である。屋根の上などの高所に上っておいて、敵だとわかるか、または敵の出入りをきつかけとして、味方に知らせ告げる人のことである。
9. X呼び出し様の事
これも合図をしたり、物まねをするなどして、呼び出して知るための謀である。
X :味方。
10. 大勢に取り龍められる知略の習いの事
これはもし敵に見付けられ、知略も敵わずに討たれる時は、二人でも三人でも一つに固まり、太刀先を並べ、敵の右へ右へと切り懸り、敵を一つに丸くして討つのである。
11. 小音の聞き様の事
総じて音を聞くには、戸尻に耳を当てて聞くべきである。物音が良く聞こえるものである。
戸尻 :扉の付け根や引き戸の次に来る戸と接する部分など。
12. 塀 ● 石垣乗り様、付けたり堀越し様の事
塀は打鉤を打ちかけて、その緒を持って登る。または引縄を長くしたり短くして腕木に結び付けて、その端に足を入れて登る。総じてこのような道具は奥義にある。石垣は浮橋や繰橋などでも、くないなどでも、石垣の間に押し込み押し込み登るのである。または一人が先へ登り、布か木綿を二本の筋にして、六~七寸程の木を間に二尺ほど置いて結び付ける。石垣の上に布の端を結び付けて、梯子のように下へ降ろすのである。堀を越す方法は色々ある。第一に水がある場合は、一人を先へ遣わして、縄を向かいの堀際に結び付ける。布の端に板や桶を付けて、突きやって向かいへ越すようにする。これを堀の船橋というのである。
13. 子時の習いの事
子の時というのは、夜の九つの事である。総じて忍び入るにも夜討ちをするにも、人が寝入る最中が良い。子と丑の間に忍び入るのが良いのである。
夜の九つ :牛前零字。
14. 寝入る ● 不寝を知る事
屋根の上へ石などを投げて、家の内側の音を聞くか、または用事を言いかけて、内側の返事を聞くとよい。
15. 寝衣の取り様、付けたり羽帚の事
寝衣の取り様は、敵が着ている衣を裾から頭の方へ取るとよい。羽帚というのは、細い竹の先にXの首毛を付けて、手元には尾っぽを付けて、長さを一尺ばかりにして持つ。また、鼻に結び付けても良い。戸 ● 障子に当たった事が知れるのである。
寝衣 :寝間着。
16. 討ち様の事
討様というのは、小脇差と明松を一つに持って、敵の胸に押し当てて首を打つのである。
17. 仕手 ● 同脇仕手の事
仕手というのは、本仕手のことである。脇仕手は介太刀をする人のことである。総じてこのような事も、前もって相談しておくと良い。
本仕手 :主として動作を行う人。
介太刀 :助太刀。
18. 犬Xえざる様の事
手の内に「鬼」という字を書いて犬の方へ見せ、片々の手で九字を切るのである。
19. 俄に人間隠れの事
梟の頭の黒焼きと、胴亀の黒焼きと合わせて、来る人の方へ捨て、手には九字を切って、佝でも手前にある物をかつぐと良い。すると隠れることができる。
20. 火師ならびに火添 ● 火脇の事
火師は火を扱う本人である。討道具を拵え持ち、火を拵えて、火が要るようになったら合図を出す人である。火添は、火でも何でも、合図があり次第、火師にそれを渡す人である。本人の手伝いなどをするのである。火脇は、火師や火添の加え人である。定めて三人はいるようにする。四人~五人まではいてもよい。
加え人 :手助けをする人。
21. 一の火 ● 二の火 ● 三の火の事
火を持つ際、一の火 ● 二の火 ● 三の火といって、三人までが持つようにする。これは火が消えた時の為である。または、替え火、そのほかの火も必要である。
22. 相図の火の事
相図の火というのは、たいていは水火縄を使う。そのほかの色々の火は「火の巻」にある。よく考えて用いるべきである。第一に、物見役に必要なものである。
水火縄 :木綿を編み込んだ縄に、硝石を染み込ませたもの。
23. 紙帳の事
用心が必要な時は、紙帳を吊手に吊らす。竹で切合わせて、紙帳の内側より伏がウのようにするのである。
吊手 :蚊帳などをつるのに用いるひもや金具。
伏がウ :鶏を閉じ込める「伏籠(ふせご)」のことか。
24. 刀脇差心得の事
用心が必要な時は、刀は右にでも枕元にでも置き、脇差は柄を足の方に向けて左の方に置く。この刀を用いる時は、直に抜き打ちに斬るのである。
25. 飛猿ならびに戸出 ● 戸脇の事
飛猿というのは、暗い自分の寝室に盗人または敵が入ってくる時の探り方である。二尺五寸の刀を二尺抜けば四尺五寸になり、ここに柄を懸けると五尺ほどになる。これで柄を持って敵の右の方より探すのである。敵の鞘に当たると、敵が必ず柄を取り持つので、すぐに抜いて斬るのである。戸出 ● 戸脇は、刀を背中へ置いて、下緒を繰って肩際で持ち、脇指を抜刀した刀の鍔に上から乗せて、左の足からできるだけ身を沈めて出入りする。用心が必要な時は、このように心掛けるとよい。取籠者に対しても一段と良いのである。
取籠者 :人質を取るなどして立て籠もっている者。
26. 闇夜の働きの事
夜の太刀打ちは、太刀を(空に)かざして、自分はできるだけ身を沈めて腰を据えて動くとよい。敵を雲の隙間に見る様にするのである。
太刀打ち :太刀で打ち合い、たたかうこと。
27. 化生幕ならびに野中幕の事
化生幕というのは、着物でも羽織でも敵の面に打ち掛けて、敵が視界を失った所を打つようにする。野中の幕というのは、弓矢や鉄砲で敵に仕懸けられた時、刀の鞘に着物や羽織をかけて、左手に持ちながら身を囲い、右の手に刀を持ち構えて斬りかかるのである。
28. 鎖子 ● 樞 ● 掛鉄明け様の事
鎖子を開けるには、真綿を竹のへラで押し込んで開ける。樞は刃鑰にて引っかけて開ける。掛鉄は問鑰といって、女の機の道具に「おささ」というものが有る。その形は、鉄でできるだけ薄く打って作り、輪掛鉄を外す。つぼ掛鉄は、下より上げて外す。
鎖子 :鎖の掛け錠。
樞 :戸締まりをするために、戸の桟から敷居に差しこんで栓をする木片。
刃鑰 :鎌の刃の部分がのこぎり状になった忍器。後述の「31. 刃鑰の事」参照。
掛鉄 :掛金。戸や障子などに付けて置き鎖した時、もう一方の金物の穴に掛けて、締りとする鐶または鉤。
問鑰 :錠前を探ったり外したりする忍器。「万川集海」忍器篇参照。
機 :はたおり機械。織機。
29. 灯置き様の事
油火を灯して、灯心の上へ毛抜を置き、その上に茶碗や器を置く。火を用いる時は、ふたを取る。
灯心 :あんどん ● ランプなどの芯。灯油にひたして火をともすのに用いる細い紐状のもの。
30. 試しの鉄の事
試し鉄とは、まなはしの様な鉄である。柄を右の通りにして、できるだけ鍛えた鉄である。塀等を突き通し、柱貫などがある所を知るためのものである。
まなはし :真魚箸。魚を料理するときに用いる木や鉄などで作った長い箸。
柄 :「右の通り」とあるが図の記載はなし。原本には絵図が書かれていた可能性がある。
柱貫 :柱の上部を横に貫く材。
31. 刃鑰の事
刃鑰は、樞を開ける物である。樞鑰のように歪めて引き込み、のこぎりのように鋼で打たせて、のこぎり刃を付け、樞を引っ掛けて開けるのである。
樞鑰 :戸が開かないように固定する鍵を開けるための道具。「万川集海」陰忍篇参照。
32. 打鑰の事
これは、船の碇の小さい物である。細引を付け、登る所へ打ち上げて引っかけ、縄をたぐって登るのである。
細引 :細引縄。麻を縒って作った縄。
33. 分鋸ならびに鋳鋸 ● 吹籠の事
分鋸 ● 鋳鋸というのは、普通の鋸のことと、焼鋸とも言い、できるだけ鍛えてある良い鋸のことである。焼鋸で引けば、大きい木を引いても音も無く、また早く引けるのである。鋸は何丁もあってよい。吹籠は火を吹く物である。数寄屋吹籠が良い。
吹籠 : 鞴 ● 吹子 ● 吹革と同じく、火をおこすのに用いる送風器のことか。
34. 無相錐ならびに鎌釘の事
錐は大きいものや小さいものをたくさん持つとよい。鎌釘もたくさん持っているとよい。
鎌釘 :鎌の刃と柄を留める釘のことか。
35. 浮橋の事
泳ぎが得意な者に細引を持たせて、堀の向こうへ遣わし、木にでも石にでも強く結び付けて、縄を頼りにして越すものである。結びつける所がなければ、「まくり橋」を石垣の間へ良く打ち込み、縄を結び付ける。
36. 繰橋の事
これは道具である。鉄梃の少し細い者である。石垣を登るときに、これを打ち込んで打ち込んで登るのである。
鉄梃 :鉄製のてこ。
37. 髙橋の事
使い方は浮橋と同じである。冬などは細引でも布でも木綿でも、何筋も空に張って渡るようにする。
細引 :細引縄。麻を縒って作った縄。
38. 引縄の事
これは、三尋、四尋ほどある細引である。両方を「めXさ」にする。用法は、前に記した塀を越える方法と同じである。
尋 :両手を左右にのばした長さ。日本では五~六尺ほど。
細引 :細引縄。麻を縒って作った縄。
39. 切火縄の事
切火縄はいくつも持って行って良い。火縄というのは、女性が用いる刀子で煎った火縄である。雨降が降っても消えない物である。
切火縄 :火縄を適当な長さに切ったもの。火縄鉄砲を発するのに用いたり、火種用や時間を計るのに用いる。
刀子 :小刀。短刀。
40. 楯拵え様の事
楯はケヤキの厚板で作る。長さ一尺三、四寸、横八寸で、鉄で縁を取りつけ、真ん中に鉄の取つ手を付けるのである。
41. 杖拵え様の事
杖は、半分より下を鉄にする。但し、二筋にして、その継ぎ目を鉄で要にして、普段は畳んでおいて杖として用いる。緊急時はこれを打広げれば、扇の形になる。これも盾になる。
42. 菱ならびに横村の事
菱は、古い竹を細く割いて、三角にでも四角にでもなるように結び、どのように投げても一角は上を向く様に菱を結んで作る。敵が追って出る道に撒き捨てれば、敵は足で踏み立てるのである。「横村」は、敵が来る道に材木でも茨でも石などを切り捨てて置いておくのである。これは皆知略である。
43. 早着龍ならびに手巾の事
木綿でも布でも一重にしたところに、銭を紺屋の糊で伏せ、その上にまた布を一重当てて、糸で固く綴じると良い。二重の布でもこれと同じである。
紺屋の糊 :染物屋が使う糊。
44. 水器の事
水器というのは、柄Xのことである。用がある場へは、必ずもっていくべきものである。
45. 袖炬の事
知らない人の前で、火を用いる物を尋ねる場合は、自分の着物の裏絹の色の切端に油を付けて、褄でも袖でも持ち添えてから、火を灯す物を尋ねるとよい。これも知略である。
46. 無音履の事
大方忍び入る時は、ぞうり ● わらじの裏を掻かず。また、真綿を糊で幾重にも重ねて、鼻緒をつけて履くとよい。
掻かず :裏をこすらないようにして歩くという意味か。
47. 自在登階の事
竹を一尺五寸ほどに切り、縦の竹とする。横竹は一尺二寸ほどに切り、中へ細引を通して、梯子にして屋上などでも棟の間に材を差し込み、それに結び付けて梯子にするのである。
48. 戸〆の事
これは、用心が必要な時間から、戸尻に錐揉みをして釘を差し込み、栓の心にするのである。
戸尻 :扉の付け根や引き戸の次に来る戸と接する部分など。
錐揉み :きりを両手でもみ回しながら穴をあけること。
49. 破軍の事
破軍星を自分の後ろに背負って敵に向かえば勝利を得る。繰り方は、正 ● 五 ● 九 ● 一という繰り方が有る。正 ● 五というのは、その時間から五X時戻った月の数の当たる方に、破軍星がある。また、九月にはその時の一X目の方にある。十二月、あでは、二割ずつ増えてその方にある。
繰る :順々に数えてゆく。
50. 雰の印の事
鉄
硝煙 (セウ)
炭 (タン)
三色を粉にして、敵の面に打ち懸けるのである。または古升の粉や一味を用いても良い。
古升 :胡椒。
一味 :一味唐辛子。
〆五十ケ条終わり
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